腹式呼吸に必要な筋肉を鍛える方法|歌に役立つおすすめ筋トレを紹介

腹式呼吸を安定させるためには、横隔膜や肋間筋、腹横筋、腹斜筋などが協力して働く必要があります。

そのため、腹式呼吸を上達させたいからといって、腹筋運動だけを繰り返せばよいわけではありません。

歌うときに必要なのは、筋肉を強く固める力ではなく、呼吸に合わせて適切な強さで働かせる力です。

この記事では、腹式呼吸に関わる筋肉を鍛える方法と、歌唱に活かすためのトレーニング方法を初心者向けに解説します。

きほんの呼吸 横隔膜がきちんと動けば、ムダなく動ける体に変わる! ([テキスト]) | 大貫崇 |本 | 通販 | Amazon
Amazonで大貫崇のきほんの呼吸 横隔膜がきちんと動けば、ムダなく動ける体に変わる! ()。アマゾンならポイント還元本が多数。大貫崇作品ほか、お急ぎ便対象商品は当日お届けも可能。またきほんの呼吸 横隔膜がきちんと動けば、ムダなく動ける体に…

腹式呼吸のトレーニングで大切なこと

腹式呼吸に関係する筋肉を鍛える前に、まず理解しておきたいことがあります。

それは、歌唱では単純な筋力よりも、筋肉を細かく調整する能力が重要だということです。

例えば、強い腹筋を持っていても、息を吐く瞬間にお腹を強く縮めてしまえば、空気が一気に出てしまいます。

反対に、筋力がそれほど強くなくても、息の量を一定に保てれば、長いフレーズを安定して歌えることがあります。

そのため、腹式呼吸のトレーニングでは、次の3つを意識しましょう。

  • 呼吸に必要な筋肉を適度に鍛える
  • 筋肉を固めずに動かす
  • 息を一定に吐く練習と組み合わせる

筋トレだけで終わらせず、必ず呼吸や発声につなげることが重要です。

横隔膜は筋トレで鍛えられる?

腹式呼吸の中心となる横隔膜も筋肉です。

ただし、腕立て伏せのように、横隔膜だけを直接動かして鍛えることは簡単ではありません。

横隔膜は、呼吸を繰り返すことで働く筋肉です。そのため、横隔膜を鍛えるには、通常の筋トレよりも、呼吸に負荷をかけるトレーニングが向いています。

特に、ゆっくり深く吸う練習や、細く長く息を吐く練習が効果的です。

1.細く長く息を吐くトレーニング

最初におすすめしたいのが、「スー」と音を立てながら息を吐くトレーニングです。

この練習では、横隔膜や腹横筋、腹斜筋などを使いながら、呼気の量を一定に保つ感覚を身につけられます。

やり方

  1. 足を肩幅程度に開いて立ちます。
  2. 肩や首の力を抜きます。
  3. お腹や脇腹が自然に広がるように息を吸います。
  4. 歯の間から「スー」と音を出しながら息を吐きます。
  5. 最後までできるだけ一定の強さで吐き続けます。

最初は10秒程度を目安にしましょう。

慣れてきたら、15秒、20秒と少しずつ時間を延ばします。

ただし、長く吐くことだけを優先して、息を極端に弱くする必要はありません。一定の量を保ちながら吐くことが大切です。

意識したいポイント

息を吐き始めた瞬間に、お腹を一気にへこませないようにしましょう。

お腹は息に合わせて、少しずつ内側へ戻っていきます。

腹筋に力を入れるというよりも、息が急に漏れないように、ゆるやかに支えるイメージを持ちましょう。

2.息を短く吐くトレーニング

次におすすめなのが、「スッ、スッ、スッ」と短く息を吐く練習です。

このトレーニングでは、腹横筋や腹斜筋を瞬間的に使う感覚を確認できます。

リズムのある曲や、言葉をはっきり発音するときにも役立つ練習です。

やり方

  1. 背筋を自然に伸ばします。
  2. お腹や脇腹が広がるように息を吸います。
  3. 「スッ」と短く息を吐きます。
  4. 1秒に1回程度のテンポで8回繰り返します。
  5. 一度休憩して、2〜3セット行います。

息を吐くたびに、下腹部が軽く内側へ動く感覚を確認しましょう。

注意点

お腹を強く殴るように動かしたり、上半身を前後に揺らしたりする必要はありません。

動きは小さくて構いません。

あくまで、短い呼気に合わせて腹部の筋肉が反応する感覚を身につける練習です。

3.ドローイン

ドローインは、腹横筋を意識しやすいトレーニングです。

腹横筋は、お腹の深い部分にあり、胴体をコルセットのように囲んでいます。息を吐くときの調整や、姿勢の安定にも関わる筋肉です。

やり方

  1. 仰向けになり、膝を立てます。
  2. 鼻からゆっくり息を吸います。
  3. 口から息を吐きながら、お腹を軽くへこませます。
  4. 息を吐き切った状態で、自然に呼吸できる程度の力を保ちます。
  5. 10〜20秒キープします。

これを3セット程度行いましょう。

注意点

お腹を限界までへこませる必要はありません。

強く力を入れすぎると、呼吸が止まってしまいます。

歌に活かすためには、腹部を固めるのではなく、呼吸を続けながら軽く支えられる強さを見つけることが大切です。

4.デッドバグ

デッドバグは、腹横筋をはじめとする体幹の筋肉を鍛えながら、呼吸を続ける練習ができるトレーニングです。

姿勢を安定させながら呼吸する力を養えるため、立って歌うときの安定にもつながります。

やり方

  1. 仰向けに寝ます。
  2. 両腕を天井に向かって伸ばします。
  3. 股関節と膝を90度程度に曲げ、脚を持ち上げます。
  4. 腰が反りすぎないように、お腹を軽く引き締めます。
  5. 右腕と左脚をゆっくり床へ近づけます。
  6. 元の位置へ戻し、反対側も行います。

左右5〜10回ずつを目安に行いましょう。

呼吸のポイント

腕と脚を伸ばすときに息を吐き、元に戻すときに息を吸います。

動作中に息を止めないことが重要です。

難しい場合は、脚だけ、または腕だけを動かすところから始めましょう。

5.プランク

プランクは、腹横筋や腹直筋、腹斜筋など、体幹全体を鍛えられる基本的なトレーニングです。

歌うときの姿勢を安定させるうえでも役立ちます。

やり方

  1. うつ伏せになります。
  2. 両肘とつま先で体を支えます。
  3. 頭からかかとまでが一直線になるようにします。
  4. お腹を軽く引き締めながら姿勢を保ちます。
  5. 20〜30秒キープします。

2〜3セットを目安に行いましょう。

歌に活かすためのポイント

プランク中も呼吸を止めないようにしましょう。

筋トレでは息を止めて耐えてしまう人が多いですが、歌唱に必要なのは、体を支えながら呼吸を続ける能力です。

浅くても構わないので、一定の呼吸を続けます。

腰が反ったり、お尻が高く上がったりする場合は、キープ時間を短くしましょう。

6.サイドプランク

サイドプランクは、内腹斜筋や外腹斜筋を鍛えやすいトレーニングです。

腹斜筋は、息を吐くときの補助や、体幹の安定に関わります。

やり方

  1. 横向きに寝ます。
  2. 肘を肩の真下につきます。
  3. 膝または足の側面で体を支えます。
  4. 腰を床から持ち上げます。
  5. 頭から脚までが一直線になるように保ちます。

左右それぞれ15〜30秒を目安に行いましょう。

2セット程度から始めます。

初心者向けの方法

難しい場合は、膝を曲げた状態で行いましょう。

肘と膝で体を支えることで、負荷を軽くできます。

呼吸を止めず、脇腹を押しつぶさないように意識しましょう。

7.バードドッグ

バードドッグは、体幹を安定させながら手足を動かすトレーニングです。

腹筋だけでなく、背中やお尻の筋肉も使うため、歌うときの姿勢改善にも役立ちます。

やり方

  1. 四つんばいになります。
  2. 手は肩の真下、膝は股関節の真下に置きます。
  3. 右腕と左脚をゆっくり伸ばします。
  4. 数秒キープして元に戻します。
  5. 反対側も同じように行います。

左右5〜10回ずつ行いましょう。

注意点

腕や脚を高く上げることが目的ではありません。

腰を反らさず、胴体が左右に傾かない範囲で動かします。

息を吐きながら手足を伸ばし、吸いながら元に戻すと、呼吸と体幹の動きを連動させやすくなります。

8.肋骨を広げる呼吸トレーニング

腹式呼吸では、横隔膜だけでなく、肋骨の間にある肋間筋も働きます。

お腹の前側だけを膨らませる癖がある人は、脇腹や背中側へ呼吸を広げる練習も取り入れましょう。

やり方

  1. 両手を左右の下側の肋骨に当てます。
  2. 肩を上げずに息を吸います。
  3. 手を横へ押し返すように、肋骨を広げます。
  4. 広がった状態をすぐに潰さず、細く息を吐きます。
  5. 5〜10回繰り返します。

息を吸ったときに、お腹だけでなく脇腹も広がっているか確認しましょう。

タオルを使う方法

長めのタオルを下側の肋骨周辺に巻き、両端を軽く持ちます。

息を吸ったときに、肋骨でタオルを押し広げるように呼吸します。

強く締めつける必要はありません。肋骨の動きを感じるために使用します。

9.ペットボトルを使った呼気トレーニング

身近なものを使いたい場合は、空のペットボトルを活用する方法もあります。

ただし、ボトルを強くへこませることが目的ではありません。

一定の息を出す感覚を確認するために使います。

やり方

  1. 空の柔らかいペットボトルを用意します。
  2. 飲み口から少し離れた位置に口を置きます。
  3. 細く一定の息を吹きかけます。
  4. 息の音やボトルの反応が大きく変わらないようにします。

直接口をつける場合は、衛生面に注意してください。

また、めまいや息苦しさを感じた場合は、すぐに中止しましょう。

筋トレ後は必ず呼吸練習を行う

腹式呼吸に関わる筋肉を鍛えても、実際の呼吸で使えなければ歌唱にはつながりません。

そのため、筋トレを行ったあとは、短時間でも呼吸練習を取り入れましょう。

おすすめの流れは次の通りです。

  1. プランクやデッドバグを行う
  2. 肩やお腹の力を抜く
  3. 深く息を吸う
  4. 「スー」と細く長く吐く
  5. ハミングやリップロールを行う

筋トレ直後は、腹部に必要以上の力が入りやすくなっています。

そのまま大きな声を出すのではなく、一度体を緩めてから軽い発声へ移りましょう。

初心者向けおすすめメニュー

どの筋トレから始めればよいか分からない人は、次のメニューがおすすめです。

週2〜3回の筋トレ

  • ドローイン:20秒×3セット
  • デッドバグ:左右5回×2セット
  • プランク:20秒×2セット
  • サイドプランク:左右15秒×2セット

毎日の呼吸練習

  • 肋骨を広げる呼吸:5回
  • 「スー」と息を吐く:10〜20秒×3回
  • 短い呼気:「スッ」を8回×2セット

最初からすべて完璧に行う必要はありません。

筋肉痛が強い場合は、無理に毎日筋トレを行わず、休養を入れましょう。

呼吸練習についても、苦しくなるまで続ける必要はありません。

腹筋を鍛えすぎると歌いにくくなる?

腹筋が強くなること自体が、歌に悪影響を与えるわけではありません。

問題になるのは、腹筋を常に固める癖がついてしまうことです。

腹部が強く緊張していると、息を吸ったときに横隔膜が下がりにくくなります。また、肋骨や脇腹も広がりにくくなります。

筋トレ中には筋肉を働かせ、呼吸や発声のときには必要に応じて緩めることが重要です。

「鍛えること」と「力み続けること」は別だと考えましょう。

上体起こしは必要?

腹筋運動というと、上体起こしを思い浮かべる人も多いでしょう。

上体起こしでは腹直筋を中心に鍛えられますが、腹式呼吸や歌唱のために必須の種目ではありません。

上体起こしだけを繰り返しても、息を一定に吐く能力が身につくとは限りません。

歌唱を目的にするのであれば、上体起こしよりも、プランクやデッドバグのように姿勢を保ちながら呼吸できる種目を優先するのがおすすめです。

上体起こしを行う場合も、首を強く曲げたり、反動を使ったりしないように注意しましょう。

筋トレだけでは腹式呼吸は身につかない

腹式呼吸を安定させるために筋トレは役立ちます。

しかし、筋肉を鍛えるだけで、歌うときの呼吸が自動的に上手になるわけではありません。

歌唱では、次のような能力も必要です。

  • 力まずに息を吸う
  • 必要な量だけ息を吐く
  • フレーズの長さに合わせて息を配分する
  • 声帯の状態に合わせて呼気を調整する
  • 姿勢を保ちながら体を固めすぎない

これらは、筋トレだけでなく、呼吸練習や発声練習を通して身につけていくものです。

筋力は、安定した呼吸を助けるための土台だと考えましょう。

トレーニングを行う際の注意点

呼吸や筋トレを行っている最中に、次のような症状が出た場合は、一度中止してください。

  • めまいがする
  • 息苦しさが強い
  • 胸や腹部に痛みがある
  • 腰や首に痛みが出る
  • 吐き気がする

特に、息を長く吐く練習を何度も続けると、過呼吸のような状態になることがあります。

練習の間には休憩を入れ、普段どおりの呼吸に戻してから次のセットを行いましょう。

持病がある人や、呼吸器・心臓・腰などに不安がある人は、無理に行わず、必要に応じて医師や専門家へ相談してください。

まとめ

腹式呼吸に関わる筋肉を鍛えるには、腹筋運動だけでなく、呼吸と体幹トレーニングを組み合わせることが大切です。

おすすめのトレーニングには、次のようなものがあります。

  • 細く長く息を吐く練習
  • 短く息を吐く練習
  • ドローイン
  • デッドバグ
  • プランク
  • サイドプランク
  • バードドッグ
  • 肋骨を広げる呼吸練習

横隔膜や肋間筋には呼吸トレーニングを行い、腹横筋や腹斜筋には体幹トレーニングを取り入れるとよいでしょう。

ただし、歌唱で必要なのは、筋肉を強く固めることではありません。

息を吸うときには体を緩め、息を吐くときには必要な筋肉を適切な強さで働かせることが重要です。

筋トレと呼吸練習、発声練習を組み合わせることで、無理なく安定した呼吸を身につけやすくなるでしょう。

タイトルとURLをコピーしました